解体業者の「建設業」とは?
建設業は建てるだけではないということを知っていますか。
実は建設業には「解体工事」もあります。
解体における建設業の許可とは一体なんなのか、建設業の許可についてご紹介します。
目次
建設業の許可とは、公共機関に建設業を行うために必要な知識と技術があることを証明し、それを生業にすることを許可してもらうことです。
一定の知識と技術がなくては審査は通りませんし、許可をなく営業をすると違法にあたります。
しかし、建設業にはさまざまな専門的分野があり、一口に「建設業」と言っても29種もの業種が存在します。
また、建設業の許可はそれぞれの業種ごとに5年毎の更新が必要です。
建設業には29種類の業種が設置されており、業者はそれぞれの業種ごとに許可をとることができます。
例えば、運転免許を持っていても、普通自動車の免許であれば普通自動車の、自動二輪であれば自動二輪の運転ができますね。
平成28年から解体工事業が新設され、令和2年12月では29業種あります。
建設業の種類をご紹介します。
業種 | 内容 |
---|---|
①土木一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事 |
②建築一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 |
③大工工事 | 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事 |
④左官工事 | 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事 |
⑤とび・土木・コンクリート工事 | 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事 |
くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事 | |
土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事 | |
コンクリートにより工作物を築造する工事 | |
その他基礎的ないしは準備的工事 | |
⑥石工事 | 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事 |
⑦屋根工事 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 |
⑧電気工事 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 |
⑨管工事 | 冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事 |
⑩タイル・レンガ・ブロック工事 | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事 |
⑪鋼構造物工事 | 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事 |
⑫鉄筋工事 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事 |
⑬舗装工事 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事 |
⑭しゆんせつ工事 | 河川、港湾等の水底をしゆんせつする工事 |
⑮板金工事 | 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属等の付属物を取付ける工事 |
⑯ガラス工事 | 工作物にガラスを加工して取付ける工事 |
⑰塗装工事 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事 |
⑱防水工事 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事 |
⑲内装仕上工事 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 |
⑳機会器具設置工事 | 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事 |
㉑熱絶縁工事 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 |
㉒電気通信工事 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事 |
㉓造園工事 | 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地 等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植 生を復元する工事 |
㉔さく井工事 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事 |
㉕建具工事 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事 |
㉖水道施設工事 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事 |
㉗清掃施設工事 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事 |
㉘消防施設工事 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 |
㉙解体工事 | 工作物の解体を行う工事 |
それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当します。
総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、「土木一式工事」や「建築一式工事」です。
それ以外の解体は「解体工事」の許可に該当します。
業種も各HPから確認できます。
建設業の許可を取得するには以下の5つの条件をクリアする必要があります。
会社の経営業務に従事する管理責任者を、経営幹部としておいている必要があります。
・5年以上経営者としての実務経験がある人
・経営業務に準ずる地位にある人で、5年以上経営者としての実務経験がある人
・経営業務に準ずる地位にある人で、7年以上経営者を補佐した経験がある人
・許可を受けたい建設業以外の建設業について
7年以上経営者としての実務経験がある人
以上が管理責任者の条件です。
専任技術者を雇用しなくてはいけません。
専任技術者は、一定の資格を有しているか、実務経験を有していなくてはなりません。
資格では許可を受けたい建設業によって異なり、実務経験では10年以上の経験または指定された種類の学校を出た後に3年~5年従事した経験が必要です。
社長自身が1と2の双方の資格があれば、同一人物を指定することも可能です。
具体的には、直前の事業年度における決算書で、貸借対照表の純資産の部合計額が500万円以上であるか、500万円以上の金額が記載された残高証明書を取得できることが必要です。
暴力団の構成員などは建設業の許可を受けることができません。
欠格要件とは、成年被後見人などに該当する場合や、過去に許可を取り消された経歴がある場合をいいます。
また、禁固以上の刑に処された経歴がある人や、5年以内に許可を取り消されるのを避けるために廃業した人は欠格要件に該当します。
工事現場の仮囲いに張り出されているので、一度は見かけたことがあるでしょう。
「建設業の許可証」の見方をご紹介します。
建設業の許可証には、
「〇〇県知事許可(般-○○)第○○○○○号」
「国土交通大臣許可(特-○○)第○○○○○号」
と表記されます。
「宮崎県知事許可」と「国土交通大臣許可」の違いについては、県知事か国土交通大臣の許可を受けた方が記載されます。 2つ以上の都道府県で営業所を設ける場合は国土交通大臣の許可になります。
仙台市でのみ複数の営業所がある場合は一つの都道府県なので宮城県知事の許可です。
また、解体工事業とは違い、許可があれば他の都道府県での解体工事に新たな申請や許可等は必要なく解体工事を行えます。
第〇〇〇〇〇号は業者の番号で何度更新しても同じ番号です。
免許番号が古い方が昔からある業者だということが目安になりますね。
(般⁻〇〇)は「一般建設業の事業者」のこと、(特⁻〇〇)は「特定建設業の事業者」のことです。
建設業には、一般建設業の事業者と特定建設業の事業者があります。
発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4,000万円(建築工事業の場合は6,000万円)以上となる下請契約を締結する場合のみ、特定建設業の許可が必要です。
他に違いがないの4,000万円を超えないのであれば気にすることはありません。
〇〇に入る数字は許可や更新をした年が記載されます。
令和2年の取得であれば(般⁻2)となります。
建設業の許可には更新回数がわかる記載はありませんが、更新手続きをしっかり行っているかは判断できます。
5年ごとに更新が必要なので、令和2年であれば(般-27)より前の数字は更新していない業者ということがわかります。
「第〇〇〇〇〇号の数字が小さいから老舗で安心」とはならずに更新された年をチェックするようにしましょう。
建設業の許可をしっかり更新している業者を選びましょう。
許可の確認の際には業種の確認も忘れずにしてください。
登録と許可では、許可の方が審査が厳しく、取得難易度が高いです。
許可をしっかりとっている業者は社会的信用度が高いといえます。
さらに、他の業種に精通していることが多いので、解体工事業の登録のみの業者よりも知識が豊富である可能性は高いでしょう。